2024年4月前半のニュース 様々な領域で、NFTフロンティアの開拓続く。 「NFT」ではなく「トークン」という表現で抵抗感に配慮する動きも。
伝えたいこと
NFT関連のニュースまとめ
飲食分野でのNFT活用本格化のきざし
飲食というもっとも根元的でリアルな分野においてNFTを活用していく取り組みが本格化しようとしています。その方向性として、お客様を「仲間」「応援者」として巻き込んでいこうというものと、LINEのようなプラットフォームを活用することで新しい食体験を提供していこうというものが注目されます。
お好み焼の千房がLINE NEXTとの契約を締結。取引額および取引ユーザー数No.1のアジアNFTマーケットであり、現在の登録ユーザー数は580万人を誇るアジア1位のNFTマーケットプレイス「DOSI」を活用。デジタルとアナログを活用した新しい食の体験を提供。
「遊び」「エンターテインメント」の要素を入れた技術活用、社会定着にはずみ
乾杯時にハイボール一杯と交換できる NFTトレカ型クーポン「トレクー・猛者たちの宴」が登場。トレーディングカード要素を組み合わせ、GPSを活用し、現実空間の位置情報をトリガーにNFTトレカ型クーポンの「トレクー」が受け取れる、宝探し感覚のデジタルマップサービス。
【NFT×地域創生】DAOの要素を取り入れたデジタル宝探しエンターテイメント『トレジャーGO』が実証実験開始。日本列島を舞台にした「JAPAN編」と、京都府丹後地域を舞台にした「TANGO編」を開催。
ファンとの共創プラットフォーム構築にNFT活用
ロイヤルカスタマー、ロイヤルファンとの持続的な関係づくりはマーケティングの最重要課題の一つですが、そのためのNFTを活用する形でのプラットフォームサービス提供が相次いでいます。
ロイヤルカスタマーの可視化から獲得までをワンストップで実現するマーケティングプラットフォーム「SBINFT Mits」が正式にサービス開始。NFTを用いたファンとの共創型マーケティングの展開サポートへ。
ラジオ局J-WAVE(81.3FM)は、PodcastプログラムとNFTを組み合わせた、まったく新しい音声ファンマーケティングサービスを開始。ラジオアプリradikoで全4エピソードを聴いたリスナーに向けて聴取証明であるNFTデジタルステッカーをプレゼント。
NFTを「学び」と「体験」の動機付けとして活用
学習や参加の事実と成果を記録し、証明する「証」として活用できるNFTは、人々の行動を動機づけ、組織や社会との関係性を引き上げていく手法としてこれから広がっていくに違いありません。経験を通じ、NFTという先端技術と人間心理の融合可能性を広げていく必要がありそうです。
ProofX、東急不動産ホールディングスのサステナビリティ取り組みの加速に向け、社員への浸透策を強化するために実施した体感イベント「サステナ月間」において、NFTを活用した社内向けロイヤルティプログラムを提供。各イベントにおいて、参加者にそのイベントに参加した証明書としてNFTを発行し、そのNFTをコレクションすることでサステナランクを上げていくことができるロイヤルティプログラム。
学びや体験が資産になる「learn to earn」を実現!学生・社会人のキャリア形成をサポートする革新的な会員制プラットフォーム「noa+ connect」をリリース。学んだ経験にポイントを付与し、そのポイントをNFTから経済的価値(日本円)に変換することが可能に。
Web3、DX、NFTの考え方を一体的にいかす地域づくりへ
まちづくりや地域活性化におけるデジタルの活用は各様ですが、各地でのWeb3、DX、NFTへの取り組み経験が相互にいかされ、多様な技術が投入され、一体化していく方向で進展していることがうかがえます。NFTも技術ありきではなく、目的と実情に応じて活用の道が拓かれつつあるようです。
株式会社PBADAOは株式会社あおときが取り組むWeb3を取り入れた下北沢のまちづくりへ、NFCを活用したハードウェアウォレット「pokke(ぽっけ)」(特許申請中)や生体認証(指紋認証や顔認証)で操作可能なスマートウォレット「TORMO(とるも)」等を提供へ。
【地域おこし協力隊DAO】北海道余市町が第一号の取り組み開始。web3.0の先進的な技術を活用し、地域住民と地域おこし協力隊員が一体となって地域課題の解決に取り組むとともに、新たな交流人口及び関係人口の拡大、地域経済の活性化、地域ブランド力の向上を図る。
DAO(分散自律型組織)の社会的実装すすむ
アート、スポーツ、テンターテインメント、シェアリング等、さまざまな領域で共通の価値観を持つ人間のコミュニティづくりがDAOを組成する形で進んでいます。その一つ、Uzumakiのキュレーションを通じた「推し括」はクリエイター、コレクター、キュレーターの「三方よし」の発想展開として期待株です。
世界初の「キュレーション機能」を導入した国産NFTマーケットプレイス【uzumaki】を4月17日(水)にリリース。「NFT推し活」でマネタイズ可能な国産マーケットプレイスが登場。クリエイター、コレクター、キュレーターの三方よしの発想。日本円決済、ガス代不要、DAO組成サポート等のウリ。
日本初のスポーツDAOアビスパ福岡スポーツイノベーションDAOで、FiNANCiEアプリ新規ユーザー限定「スタグル500円割引キャンペーン」を実施。「福岡から世界に広がるイノベーションモデルを共創する」というビジョンに賛同したメンバー皆で意思決定し、行動することで様々なイノベーション活動を推進。
2023年より日本初のスポーツDAOとしての活動を開始し、現在は2,579名のメンバーが参加している「アビスパDAO」、2024シーズンWeb3パートナー契約締結。
日本初のDAO型シェアハウス「RooptDAO」は合同会社型DAOに。合同会社型DAOの法整備拡充に伴い、DAOの合同会社化が実現
ブロックチェーンとIoTの技術融合の可能性に期待
ブロックチェーン(NFT)とIoT(NFCタグ)の技術融合は、リアルなもの(製品)とデジタル(ブロックチェーン)を紐付ける有望な仕組みとして今後の展開が広がりそうです。プレミアム商品の価値、ブランド、信頼性の向上策として多様な分野での活用が望まれます。
堀江酒場(山口県)がブロックチェーンとIoT(NFCタグ)技術を融合させた「SHIMENAWA(しめなわ)」を日本酒最上位銘柄「夢雀(MUJAKU)」などに導入。プレミアム酒の更なる価値向上へ。
NFTプロジェクトをめぐる現行税制・会計制度の制約をふまえたサービス提案も
NFTに関連する税制や会計制度は制約が多く、上場企業をはじめとする日本企業がトークンを伴うプロジェクトを立ち上げ、持続可能な運営を行うことは数々の困難が伴うとされます。一方で、グローバルで競争力のあるプロジェクトへと発展させるためには、トークンの活用が不可欠という指摘もあります。それらへの解決策をめざした国境をまたぐプラットフォーム提案がなされています。
Highphen社はBOBG社(本社:シンガポール)と提携し、WDMTPで利用できる独自トークンで年内上場を発表。DMTPトークンの発行から上場に至るプロセス全般をサポートへ。DMTPトークンはユーザー同士でメッセージの送受信をすることはもちろん、Web3事業者がユーザーに対して通知やメッセージを送信することが可能に。
BOBG社、Highphen社が開発するWeb3コミュニケーションプロトコル『DMTP』の活用で協業を発表。現行の税制および会計制度下では、上場企業をはじめとする日本企業がトークンを伴うプロジェクトを立ち上げ、持続可能な運営を行うことは極めて困難ななかで、BOBG社がトークンの発行、運用、管理から暗号資産上場までを一貫して実施。
まとめ
さまざまな領域でのNFT活用が広がることで、今後はNFTという言葉をあえて使わなくとも、デジタルな新タイプの商品券(トークン)、証書、認可証、免許証(ライセンス)ということでNFTの社会的受容が実質的に進んでいくことが期待されます。
東京大学工学研究科都市工学専攻を修了の後、公益財団法人九州経済調査協会や九州大学において長年、地域調査や産業政策・地域政策の立案に従事するとともに、数多くのまちづくりに参画している。
MikoSea Curator - Sakaguchi2024年4月前半のホットなニュースをわかりやすく解説します。